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「ブルーバレンタイン」という映画を観てきました、現代もそのまま「BLUE VALENTINE」です。
あらすじは、
結婚7年目を迎え、娘と共に3人で暮らすディーン(ライアン・ゴズリング)とシンディ(ミシェル・ウィリアムズ)夫妻。努力の末に資格を取って忙しく働く妻シンディに対し、夫ディーンの仕事は順調ではない。お互い相手に不満を募らせながらも、平穏な家庭生活を何とか守ろうとする2人だったが、かつては夢中で愛し合った時期があった……。(シネマトゥデイ)
映画『ブルーバレンタイン』公式サイト
http://www.b-valentine.com/
ネタばれするかもしれません、これから観ようと思っている方はご容赦ください。
サスペンスかホラーじゃないかという雰囲気で映画は始まりますが、私の苦手な恋愛映画です。 普通なら観ないジャンルの映画も、これは観ておかなくちゃいけないと思い(笑)、がんばりました。
結婚してかわいい子供のいる夫婦のお話です、現実の離婚の一番の理由は性格の不一致だそうですが、気持の不一致というかまさにそんな映画です。
子供の躾や生活や勉強を考える妻に対して、遊びや楽しさを優先させてしまう夫の図は、世の中にあることだけれど、男がちゃんと働いていない、それでいて専業主夫でもない、美味しいとこ取りなところを、大抵な女性は我慢できないと思う。 それは傍から見ていれば男性でもわかる。
そんな状況で、犬が亡くなってしまったことをきっかけに、それだけではなくそれまでの鬱積がだんだんと染み出してくる。 ショックを受けているシンディに、ゲージをちゃんと閉めていなかったお前のせいだと言ってしまうディーン。 それを言っては駄目だと思うけれど、どうしようもなさが言わせてしまうのもわかる。
そんな現在の日常と、過去の結婚にいたる経緯をオーバーラップさせることで、私の持論でもある(笑)、恋愛は情熱で結婚は愛情がエネルギーだということ、とてもよくわからせてくれるのです。
出会った直後の二人は本当に楽しそう、特に彼の天真爛漫さや無垢ところがかわいい(それが結婚後、嫌なところになってくるのだけれど)、同じ役者さんが演じているのに確かに若さがあふれています。 そこから、二人の家庭のことや子供のことなどの伏線がだんだんとわかってくる作り方はとてもお上手で、台詞もまさにドキュメンタリーのよう。
恋愛は情熱と言いました。 結婚することで情熱がだんだんと愛情に変化していって夫婦になっていくのだと思います。 お互いがうまく愛情に変化させられればよいのだけれど、これがなかなか難しい。
ディーンはシンディに対してうまく情熱を愛情に変化できなかった気がします、情熱のまま動いてしまうから、ラブホテルだったり、周りのことを考えずに彼女の職場まで殴りこんでしまう。 子供に対しても愛情というよりはやっぱり情熱なのかも。
逆に女性は子供を産むことで母になり、情熱をスムーズに愛情に変えられやすい。 でもシンディのちょっと違うところは、ディーンに、夢は無いの? やりたいことは無いの? と訊くところ。 お金のことだけでもない、いいお父さんになってほしいだけではないのが、さらに二人の関係を複雑にしてしまったのでしょうね。
どちらが悪いとかいう話ではないのだけれども、この場合はディーンに分が悪い。 私は彼とは違うけれど、いくつか近いところもあって、それはやっぱり奥さんの人には許せないようです(笑)。
正直、エンディングはもう少し顛末を伝えてもよかったと思いますが、それは男女や、人それぞれの感じ方にに委ねるということなのでしょう。 最後まで子はかすがいなのだけれど、それすらももう修復できない関係になっているのが悲しい。 花火の中を背中を見せて歩く、そこからつながるエンディングクレジットはとても素敵でした、やられたーという感じ。
恋人同士で観るよりも、やっぱり夫婦で観る映画なのだと思います。 もちろん一人でも楽しめる考えさせられる映画です。 よかったらぜひぜひ。
大人でも子供でいたい僕なのに母にはなってくれないのですね (天国ななお)