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エンジェル ウォーズ



「エンジェル ウォーズ」という映画を観てきました。 原題は「SUCKER PUNCH」で、不意打ち、いきなりの一撃、急襲というような意味があるみたいです。

エンジェル ウォーズ
http://wwws.warnerbros.co.jp/suckerpunch/index.html

あらすじは、
幻想的な世界に閉じ込められたベイビードール(エミリー・ブラウニング)は、バーチャル兵器を使いこなす4人の女戦士を集め、自由を求めて戦うことに。想像の世界の中でワイズマン(スコット・グレン)の手助けを受けた彼女たちは成功すれば自由を手に入れることができるが、そのためにはある犠牲を強いられる運命にあった。(シネマトゥデイ)

きっとみなさん言われていると思いますが、紀里谷和明監督の「CASSHERN」や「GOEMON」の映像を思い出しました。 この映画のザック・スナイダー監督の「300/スリーハンドレッド」が、公開ではその二作の間に入り、CASSHERN は一番古く 2004 年の公開だったのですね。

今のほうが映像の技術は進んでいるので(コストも違うかもですが)、戦闘シーンなどはさらにやりたいことを可視化できているのだと思います。 でも、物理的にシュミレートされた動きよりも、両者に共通するアニメのようにデフォルメーションされた動き、気持ちが入って気持ちに合った動きは、劇画のようなダイナミックさがあって、私はお気に入りっ。

日本人的な掛け声「いっせーのー」みたいな間があって、「おりゃー」という感じが肌にあっているのかもしれません。 着地のポーズや一刀両断にするところは、どっちが先とかわからないけれど、つい紀里谷さんのからインスパイヤされたように思えてしまいました。

荒唐無稽ではあるのだけれど、それでも、ストーリーというか脚本は、こちらの映画に軍配があがります。 現実と妄想とのかかわりみたいなところや、そこからオチという感じで展開するところは、なるほどねだし、最後のシーンまで、ドライバーの登場からもしかして想像の世界なのかもと思わせます。

自由というテーマは、実は深いものがあって、それぞれの登場人物や宝物など、いろいろ伏線もあるのだけれど、アクションを楽しむだけでも十分に元は取れると思います。

ひとつだけ希望があります、主人公のベイビードール(友達の木下さんに似ていると勝手に思っている)の官能的なクネクネ踊りをちゃんと観てみたいです(笑)。 300 が好きだった人も GOEMON が好きだった人も、よかったらぜひ。

閉じた目の中に自由が見えてくる いく瞬間に開けられたなら (天国ななお)
# by momomiyam | 2011-04-26 17:49 | 映画

攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D



(C) 2011 士郎正宗・Production I.G / 講談社・攻殻機動隊製作委員会

「攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D」という映画を観てきました。 テレビアニメシーリーズの映画版の第三作目になります。 映画に際し全編を3D化して、さらに通信や電脳系なビジュアルを追加、オリジナルのオープニングもついてます。

この手のアニメの3D化はとても有効だと思います。 特に追加されたポップアップとかが、一番前に出てきて雰囲気を盛り上げます。

あらすじは、
難民武装事件の終結から2年後の西暦2034年、梵の刺青を体に刻んだ男たちが次々と不審死を遂げる事件が起きる。新しく人員を配置した公安9課がその怪 事件の解決に乗り出すが、メンバーの一人のバトーは自らの「個人的推論に乗っ取った捜査方針」を貫き単独行動を取る。やがて彼の緻密(ちみつ)な捜査によ り、自殺した13人の男たちの身元が明らかになり……。(シネマトゥデイ)

映画『攻殻機動隊(Ghost in the Shell) S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』公式サイト
http://www.ph9.jp/

S.A.C は STAND ALONE COMPLEX の略です、個別の複合体と言う意味になりますが、独立した個人であるのに全体では集団的な行動を取る、ということらしいです。 らしいです、という言い方がすでに私がマニアでない、というところがばればれですが(笑)、この手のお話しは大好きなのですよ。

映画はさらに副題で Solid State Society とあります。 ソリッドステートは、当時でいう真空管に対するトランジスタなどの電子素子のことをいいます、その社会ということですね。 ネットワーク社会よりももっと内側なハードな世界という感じでしょうか。

SSS で私たち世代が思い浮かべるのは日産ブルーバードの SSS、スーパースポーツセダンです(笑)。 ゴーイチマルと呼ばれた 510型 のシリーズが特に有名で、水冷直列4気筒 SOHCのL型 1600ccのL16 はSUツインキャブ で、日産初の四輪独立懸架サスペンションでしたー。 もうひとつの SSS は、言わずと知れた YMO のソリッド・ステイト・サヴァイヴァーですね。

映画の内容を説明するのは非常に困難なので、こんな話題でお茶を濁して終わります(笑)。 でもでも、好きな人にはとてもたまらない映画なのは間違いがないです、よかったらぜひぜひ。

思い出を動画のように保存する 外部記憶とはそういうことだ (天国ななお)
# by momomiyam | 2011-04-25 19:30 | 映画

トゥルー・グリット



(C) 2010 PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.

震災以来、私が行くような映画館で、レイトショーを中止しているところが多く、仕事帰りになかなか映画をみるとこができません、うにゅ。 でも、ひさびさ週末に、「トゥルー・グリット」という映画を観てきました。

原題もそのまま「TRUE GRIT」です。 意味は、GRIT が勇気とか根性とかなので、「本当の勇気」という感じでしょうか。 予告編では「不屈の男」、オフィシャルサイトでは「真の勇気」、本編字幕では「真の勇者」と訳されていたように思います。 実は、ジョン・ウェインがアカデミー主演男優賞を受賞した1969年の「勇気ある追跡」を、あのコーエン兄弟がリメイクしたものです。

あらすじは、
父親を殺された14歳の少女マティ(ヘイリー・スタインフェルド)は、真の勇気を持つといわれる保安官のコグバーン(ジェフ・ブリッジス)に犯人の追跡を 依頼。テキサス・レンジャーのラビーフ(マット・デイモン)も加わり、かたきのチェイニー(ジョシュ・ブローリン)を追うこととなる。(シネマトゥデイ)

映画『トゥルー・グリット』オフィシャルサイト
http://www.truegrit.jp/

最近観た映画の中では、ジェフ・ブリッジスさんは、トロン・レガシーのお父さんだし、ボーンなマット・デイモンさんは、インビクタスのラグビー選手でした。 でも、ジャンルの違う西部劇でも、いかにもという役に合っていたし、新人のヘイリー・スタインフェルドさんとの掛け合いも、とてもよかったです。 彼女はほぼリアル年齢だったのですね(蒼井優さんにちょこっと似ているかも)。

真の勇気が広い意味でアメリカンスピリッツということなのだと思います。 主人公たち三人が、それぞれの違った個性を持っていて、みんながそれぞれのトゥルー・グリットを持っているということなのでしょう。

三人の会話が(想像する)とてもアメリカ的なユーモアとウィットにとんでいる。 それでいて、銃撃戦や残虐なシーンは遠慮なくとてもリアルでグロい。 その対比の中に14歳の女の子が物怖じせずにいる強さが要となって物語が進んでいくのです。

どこまで自分では理解できたかわからいませんが、細かいところや伏線もいろいろとありました。 たとえば、最後の穴のシーンに向けてでは、始めの野宿で、蛇よけのためのロープはマティにはいらない、そんなやせっぽちの女の子なんて蛇は噛まないと言う。 木登りで持っていたナイフは自分のかと思わせといてコグバーンのを借りていたところ。 マティの父親の形見のコルト・ドラグーンなんてでかい銃を撃ったら、反動でおまえなんか吹っ飛ぶぞ(他の武器の解説もちゃんと理由がありましたね)、などなどは全てが穴に向けての布石になっていた気がします。 

コグバーンはオリジナルと違ってアイパッチを右目にしていました、右利きが銃を構えると普通は右目で狙いを定めます、拳銃はともかくライフルは撃ちにくそうでした(笑)。 途中のパンの撃ち合いはサーカスへの布石だったかもしれません。 酔っ払った口だけの男では無いことはだんだんと分かってきますが、四人に向かっていく姿はまさに真の勇者だったと思います。

マティの口調や正論や駆け引きがお父さん譲りだというところから、お父さんへの大好き具合が窺われて、それが復習へ向かわせる原動力になっていたのですね。

広大な西部劇の舞台の風景がきれいに収められていて、その中を小さな二人が三人が進む引きの画はとてもよかったです。 音楽もいかにも西部劇的なものも含めてとても合ってました。

西部劇なんだけれど冒険活劇のようなファンタジーのような映画です。 エンディングも味わい深いものになってます。 興味のあるかたはぜひぜひ。

本物の勇者の剣を持ったって勇者になれるわけじゃないのに (天国ななお)
# by momomiyam | 2011-04-22 19:40 | 映画

パラノーマル・アクティビティ2



(C) 2010 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

「パラノーマル・アクティビティ2」という映画を観てきました。 原題も「PARANORMAL ACTIVITY 2」です、超常的な活動、超常現象(paranormal phenomenon)という感じだと思います。

あらすじは、
ある日、クリスティ(スプレイグ・グレイデン)とダニエル(ブライアン・ボーランド)が外出先から帰宅すると、家の中は足の踏み場もないほど荒らされていた。奇跡的に彼らの幼い息子の部屋だけは無事だったものの、家族の不安は募る。ダニエルはすぐに何台ものセキュリティーカメラを家中に配置するが、同時に家の中では奇妙な現象が起こり始め……。(シネマトゥデイ)

映画『パラノーマル・アクティビティ2』公式サイト
http://www.paranormal2.jp/

低予算で制作され期待以上のヒットになったパート1は観ています。 その1の前に起こった出来事ということで、前作同様に家庭用ビデオカメラや防犯カメラの視点で、ドキュメンタリー風に映像化しています。

前作同様 BGM はまったくありません。 生活音だけなのですが、ときどき思わぬところで(ときどきは想像できますが)大きな音がして、とても驚かされます。 そんなお化け屋敷的な驚かし方のところはちょっと芸が無い感じがしますが、静かにプールを這い上がったり、音も無く扉が閉まったり、ゆっくりと子供が動いたりするようなところは、この映画ならではの怖さの表現だと思います。

それでも、前回と同じく、せっかく録画しているんだから早くチェックすればいいのに、というイライラはやはり募ります(笑)。 でも、映画の中でそのことを娘さんがお父さんに言う「いいからとにかく見て!!」は、そのとおりだと共感しました。

時間の経過の使い方や見せ方は、前作の方がよかった気がしますが、子供を(犬も)使うことで印象を変えることや、違う怖さも足せた感じはしました。 もちろん、十分に驚かされるので、それが好きな人はよかったら。

「好きだ」の「す」 大きな声に驚いて最後の「きだ」を聞けず酸っぱい (天国ななお)
# by momomiyam | 2011-03-22 12:30 | 映画

アンチクライスト



(C) Zentropa Entertainments 2009

「アンチクライスト」という映画を観てきました、原題もそのまま「ANTICHRIST」で「キリストの敵」「反キリスト」ということになるかと思います。

あらすじは、
愛し合っている最中に息子を事故で失った妻(シャルロット・ゲンズブール)は罪悪感から精神を病んでしまい、セラピストの夫(ウィレム・デフォー)は妻を何とかしようと森の中にあるエデンと呼ぶ山小屋に連れて行って治療を試みるが、事態はますます悪化していき……。(シネマトゥデイ)

映画「アンチクライスト」公式サイト
http://www.antichrist.jp/

ネタバレする可能性があります、また、それ以上に個人の解釈ということをご了承ください。 画像はオーストラリアのポスターです、きゃー。

物語の最初のハイスピードカメラによるスローモーションのモノクロ映像が、クラシックな音楽と相まってとても美しいです。 でも、そこで行われている性行為や恍惚とした表情は、美しさからは遠い、とても俗欲的な感じがしました。 そのシーンは故意ではなく事故だったように見えるのですが、そこで感じる違和感が最後にはわかって、驚きつつやっぱりと思ったりします。

そこで子供が机の上から落とす人形に、Grief/悲観、Pain/苦痛、Despair/絶望 とあり、物語の後半の三人の愚者(乞食)の話しにつながります。 それぞれが、鹿、狐、鴉 という動物があてはめられ、実際に画面に登場します、そして三人の愚者が揃うと誰かが死ぬ、というのです。

たしか、誕生したキリストに三人の賢者が会い祝福をする、という話があったと思いだして、ネットで検索したら、お祝いに 乳香、没薬、黄金 を贈ったと書いてありました。 始めのシーンでその逆の三人の愚者が登場するのが、誕生を祝うの逆で、子供の死の暗示でもあったのではないでしょうか? (もちろん違う人も死にますが)

宗教的な下地が私には無いのでわからないことが沢山あると思ったので、感想を書く前に珍しく他の人の感想を読んでみました。 女性蔑視が根底にある、という意見は多かったけれど(物語のなか、魔女狩り的な女性への暴力が彼女の研究テーマであり、その研究は完成しないのだけれども、そこからだんだんと狂っていくという描写もある)、私はあまりそう思いませんでした。 そこで筋道立てずバラバラですが、いろいろ思ったことを書いてみることにします。

森に向かう電車の窓に一瞬映るのはマリリン・マンソンさんのアルバム「アンチクライスト・スーパースター」のジャケットの顔でないかと思ったり(笑)。

エデンと呼ばれる森へ二人で向かうというのは、やはりアダムとイブを想像してしまいます。 落ちた林檎の実を食べたということではないのでしょうけれど、ドングリだとか雛だとかいろんな物が落ちるし、何より最初に子供が落ちることから、この狂った話が始まるのは、もしかしたら関係があったりするんじゃないかと。

神や悪魔の暗示も出てきます。 夫が足に石のオモリを着けられてしまうのは、十字架を背負わされて歩かされたキリストのことなのかとも思いました。 妻がセックスを強要したり自慰をしたりするのが、処女でキリストを身ごもるマリアの反対で、悪魔的なものとしての表現なのかと思ったり。 その悪魔、邪悪なものを夫は手にかけて、同じ次元に落ちてしまうのだけれども、そのあと逃げ出して歩くのがゴルゴタの丘で、そこをある意味成仏した女性たちが登っていく。

監督のラース・フォン・トリアーさんのインタビューも読みました。 特に宗教的なことを表したわけではない、とあるので、無理な深読みをすることはないと思いますが、現実と空想が入り混じった世界は、難解であることに間違いはないです。 それを映像だけで考えると、単にかなりホラーでバイオレンスな映画になってしまいますもの。

アダムとイブが禁断の実を食べて、そこから性行為が始まったとして、その根源である男女の性器をあんなことやこんなことをしてしまうのも、その冤罪から逃れる行為とするのは無理かしら。

要所要所でわかりやすい暗示もあるのだけれど、私にはよくわからない。 自然ですら崇高なものではなく、邪悪なものだとする。 女も男も、動物も、神ですら、そうだと言っているようです。 登場する動物たち、鹿、狐、鴉。 鹿は死産した子供をぶら下げたまま歩き、狐は自分の中身を舐め、鴉はいくら殺しても死なない。 神でも邪悪でもない子供は、やはり初めから死ぬことになっていて、次は女の自虐であり、一番駄目駄目だった男が最後まで死ねない絶望を味わう。

恐怖のピラミッドの頂点は、カウンセラーの夫が書き入れる「?」から「SATAN」となり最後に「ME」となる。 ME の映画の字幕は彼女、つまり彼女自身だというのだけれども、それなら SHE じゃないのかな? MINE でもなく US でもない ME は、もしかしたら夫のこと男のことなのではないか、と思いました。

芸術的な映像のオープニングからボカシが入る18禁の映画です、予告編以上の内容と共におすすめしませんが、それでもという人だけ観ればよいと思います。 

鹿狐鴉の家来を従えた森ガールには子供がいました (天国ななお)
# by momomiyam | 2011-03-08 20:00 | 映画